有史以来、馬や牛が使われていたことからもわかるように、人間は本来、優秀であれば、動物だって使います。それなのになぜ、女性活用が進まなかったのでしょうか。
歴史を振り返ってみると、まず、人間のマッスルを補う代替として馬や牛が活用されました。続いて産業革命により、マッスルを代替するものが機械に変わったわけです。
とはいえ、仕事のほとんどはマッスルを使うものが大部分を占めていました。男性は女性よりもマッスルが優れているため、男性が外、女性が内というのは合理的な選択でした。
ところが1975年にエポックメイキングなことが起きたのです。まず、第三次産業が50%を超えるとともに、国際婦人年として男女差別撤廃が呼びかけられました。この年を契機にマッスルからブレインの時代へ移行したわけです。
さらに、その頃、登場したコンピュータはブレインを代替するものとして台頭し、ますますマッスルの必要性が相対的に下がっていきました。ブレインの能力で言えば、小中高大と、学校の成績は女性のほうが良いんです。もちろん、学校の成績と社会の成果は別ですが、社会に出た途端、男性ばかり活躍しているのはおかしいですよね。
日本における「失われた20年/30年」の大きなファクターは、女性を家に閉じ込め、人口の半分を活用しなかったことだと思っています。その間、欧米は女性活用にまじめに取り組み、日本は男女雇用均等法も抜け穴だらけでジェンダー・ギャップ世界121位(2020年)ですから。
家の仕事から解放された女性と、筋力から解放された男性とが、ブレインの世界で協働しましょうということ。そして、これまでの男性社会とは違う発想でもってイノベーションを起こそうということなんです。