ヒト、モノ、カネ、情報……。経営資源にはいろいろあります。中でも、「言葉」一つで、生産性を5倍にも10倍にも高められる特殊な経営資源、それが「ヒト」なのです。
実際、「やる気溢れる」社員は、ただ単に「満足している」社員に比べて、2.25倍もの高い生産性を発揮するというデータがあります(ベイン・アンド・カンパニーとEIUの合同調査)。
一方、会社・職場に「満足していない」社員になると、「やる気溢れる」社員との差は実に3倍以上に広がります。
この「ヒト」という経営資源を最大化させることが、つまり、「社員が最高のパフォーマンスを発揮できるように、やる気を引き出し、組織を整えること」が人事の本来の役割なのです。制度やルールを作り、運用することは、その手段の一つに過ぎません。
たとえば、私の在籍時代のGEのアニュアルレポート(2008年)をご覧いただければわかると思いますが、平均して一人あたり競合他社の約2倍の生産性(従業員一人あたりの売上高: GEの566千ドルに対して競合他社は294千ドル)が実現できています。これが「人で勝つ」経営のモデルケースの一つです。
そう、人事は「人で勝つ」経営のためのキーファクターであり、それこそが私がキャリアを通じて一貫して実践してきたこと。もし「たまたま人事に配属されたから」というスタンスで取り組んできた方がいるのなら、「人で勝つ」ための人事を追求していただきたいのです。